
養子縁組とは
養子縁組とは、血縁関係にない人同士が法律上の親子関係となることです。
養子縁組の2類型
養子縁組には、「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2種類があります。
普通養子縁組の場合は、実親との親子関係が続きます。一方、特別養子縁組の場合は、お子さんの保護・福祉を目的としているため、実親との親子関係は終わります。
画像出典:法務省
普通養子縁組 | 特別養子縁組 | |
養子縁組の成立 | 養親と養子の同意 | 児童相談所長または養親の請求に対して家庭裁判所が決定 |
養子縁組前の監護(同居して養育すること) | 不要 | 6ヵ月以上 |
実親の同意 | 不要 | 原則として必要 |
養親の年齢 | 20歳以上 | 25歳以上の夫婦(夫婦のいずれかが25歳以上であれば、その配偶者は20歳以上でも可) |
養子の年齢 | 尊属または養親より年長でないこと | 原則として15歳未満 |
実親との親族関係 | 存続 | 終了 |
戸籍の記載 | 実親の名前が記載され、続柄は「養子」「養女」と記載 | 実親の名前は記載されず、続柄は「長男」「長女」等と記載 |
相続権 | 実親と養親の法定相続人になる | 養親の法定相続人になる |
離縁 | 原則養親と養子の同意 | 養子の利益のため特に必要があるときに養子、実親、検察官の請求により離縁 |
その他 |
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養子縁組の手続きの流れ
普通養子縁組の場合
- 養子縁組届1通(成年の証人2人が署名したもの)
- 戸籍謄本(養親・養子の本籍が届出地の市区町村でないとき)
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証等)
- 家庭裁判所の許可書謄本(家庭裁判所の許可を必要とする場合)
つぎのいずかの市区町村の窓口に届け出ます。
- 養親または養子の本籍地
- 養親または養子の住所地
届出をした日から法律上の効力が発生します。戸籍に反映されるのに2週間程度かかることがあります。
特別養子縁組(児童相談所に里親登録をする場合)
児童相談所で申請要件の確認、研修の受講、申請、家庭調査、児童福祉審議会里親認定部会での審議を経て、東京都知事が認定登録をします。
その後、お子さんとマッチングを行い、おおむね6ヵ月間の試験養育を行います。
参考:東京都の里親制度について
試験養育を経て、お子さんと里親が新生活に慣れてきたら、里親が家庭裁判所に特別養子縁組の申立てを行います。
申立て後、家庭裁判所の調査(里親・実親への面談、家庭訪問など)が行われ、家庭裁判所が審判をします。
審判確定日から10日以内に、養親が「特別養子縁組届」を養親の本籍地または所在地の市区町村に提出します。届出をした日から法律上の効力が発生します。
養子縁組と相続
故人に養子が複数いる場合
被相続人(故人)に養子が複数いる場合、相続税の基礎控除額を計算するときの法定相続人として数えることができる人数の上限が決まっています。
- 被相続人に実子がいる場合:養子のうち1人まで
- 被相続人に実子がいない場合:養子のうち2人まで



参考:相続税の計算(国税庁)


配偶者の連れ子がいる場合
配偶者に連れ子がいる場合、実親が結婚しても、義父・義母との法律上の親子関係は発生しません。
そのため、義父や義母が亡くなっても法定相続人になれません。



故人が孫を養子にしていた場合
被相続人(故人)の配偶者、父母、子以外の人が遺産相続をした場合は、税額控除を差し引く前の相続税額にその2割を加算するというルールがありますが、被相続人が孫を養子にした場合は、つぎのような扱いになります。
- 孫の親(被相続人からみると子)が健在である場合:養子である孫には2割加算が適用されない
- 孫の親(被相続人からみると子)が先に亡くなっている場合:その子(被相続人からみると孫)は代襲相続人となるため2割加算が適用される
養子に子どもがいる場合
普通養子縁組後に生まれた養子の子は、孫として代襲相続人となれます。
しかし、養子縁組前にすでに生まれていた養子の子は、祖父母との血縁関係がないため、代襲相続人にはなれません。
参考:養子縁組前に出生した養子の子の代襲相続権の有無(国税庁)

