
墓地・霊園以外には納骨できない
遺骨は、法律によって都道府県知事・市長・区長の許可を受けた墓地・霊園以外に納骨(埋葬)できません(墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)第4条)。
墓地・霊園の経営者は、都道府県・市町村などの自治体・宗教法人・公益法人などに限られています。
自分の所有地であっても、勝手にお墓を建てて納骨することはできません。ただし、遺骨を自宅などに安置することは可能です。



お墓を買うのは墓所の使用権と墓石
よく「お墓を買う」といいます。しかし、お墓そのものを購入するのではなく、墓所(お墓を建てる土地の区画)を使用する権利と、墓石を購入することになります。



お墓の承継者が必要
家のお墓を建てるときには、自分の死後にお墓を継いで供養・維持管理をする承継者(祭祀主宰者)が必要です。
かつては慣習として長男・長女や配偶者がお墓を継ぐものとされていましたが、法律上は誰でも承継者(祭祀主宰者)になれます。



祭祀主宰者とは
民法には、系譜(家系図など)、祭具(位牌・仏壇・神棚など)、墳墓(墓石・墓碑など)の所有権は、相続財産には含めずに、祖先の祭祀を主宰すべき者(祭祀主宰者)が承継すると決められています(民法第897条第1項)。
祭祀主宰者はつぎのように決められます。
- 被相続人が生前に指定(民法第897条第1項)
- 被相続人の指定がない場合は、地方の慣習に従う(民法第897条1項)
- 被相続人の指定がなく、地方の慣習が明らかでないときは、家庭裁判所が定める(民法第897条第2項)



墓地・霊園を選ぶ条件
お墓を建てるときには、墓地・霊園の種類や立地など、何を優先して選ぶのか、条件を決めておきます。
墓地・霊園の種類
墓地・霊園の種類はつぎの3種類に分けられます。宗教・宗派、予算、お墓のデザインなどから検討します。
- 寺院墓地:寺院が檀家のために設置している墓地
- 公営墓地:自治体が経営している霊園
- 民営墓地:公益法人や宗教法人が経営している霊園



墓地・霊園の立地
自宅から近くてお墓参りに便利な場所、あるいは、自宅からは遠いけれど自分の気に入った場所などが考えられます。



ペットと一緒にお墓に入りたい場合
人間とペットと一緒にお墓に入ることは、法律的には問題ありません。
しかし、一般的な墓地・霊園の場合、動物に対する考え方や宗教観の違いなどにより、同じ墓地・霊園の利用者から反対されることがあります。



お墓にかかる費用
お墓を建てると、つぎのような費用がかかります。
初期費用
- 永代使用料・使用料
- お墓を建てる費用(墓石代・墓石加工費・外柵工事費)
- 入檀料(寺院墓地の場合)
維持費用(毎年)
- 墓地・霊園の管理費
- 檀家料・お布施・寄付など(寺院墓地の場合)
お墓を建てる流れ
自分の希望やお墓の承継者のことを考えながら、複数の候補を比較し、そのなかからひとつを選んで墓地使用契約を結びます。



墓地が決まったら、石材店を選びます。民営墓地の場合は、石材店が墓地も含めて契約窓口になっていることもあります。
石材店が決まったら墓石の形やお墓に刻む文字を決めます。墓石の形は、つぎの3つのタイプがあります。
- 和型墓:伝統的な縦長のお墓
- 洋型墓:横長のお墓
- デザイン型墓:独創的なデザインのお墓
墓石に刻む文字は、和型墓では「〇〇家之墓」「南無阿弥陀仏」などが一般的ですが、洋型墓やデザイン型墓では「ありがとう」「安らかに」「感謝」など、故人やお墓を建てる人が好きな言葉が選ばれることも多いです。
お墓の工事が完了したら納骨をします。納骨をするときは、つぎの書類が必要です。
- 火葬許可証:市区町村が発行
- 墓地使用承諾証・受入証明書:墓地の経営者が発行。墓地・霊園により名称が異なる
参考:死亡届について(立川市)


