
自筆証書遺言書保管制度とは
自筆証書遺言を遺言書保管所(法務局)に預け、画像データとして保管・管理してもらう制度です。
参考:知っておきたい遺言書のこと 無効にならないための書き方、残し方(政府広報)
法務局に遺言書を預けると
無効な遺言書になりにくい
遺言書の保管申請時に、自筆証書遺言の法律上の形式ルールに合っているかをチェックしてもらえます。
ただし、遺言書の有効性を保証するものではありません。



法務局では、遺言の内容についてのチェックや相談はできません。
紛失や書き換えが防げる
法務局に預けた遺言書は、原本とともに、画像データとしても長期間に管理されます(原本:遺言者死亡後50年間、画像データ:遺言者死亡後150年間)。



死亡後に遺言書があることを遺族等に伝えられる
法務局が遺言者の死亡を確認すると、法務局から遺言者があらかじめ指定した相続人などに、遺言書が法務局で保管されていることを通知する仕組みがあります。



家庭裁判所の検認手続きが不要
自筆証書遺言は、通常、遺族が遺言書を家庭裁判所に持ち込んで、「検認」という手続きを受ける必要があります。
しかし、法務局に保管した自筆証書遺言の場合はその手続きが不要であるため、すぐ遺産分割の手続きに入ることができ、遺族の負担が軽くなります。
法務局に保管する遺言書の要件
法務局に遺言書を保管する場合は、民法で定められた自筆証書遺言の要件に加えて、法務省で定められた自筆証書遺言書保管制度を利用する場合の要件を満たす遺言書を作成する必要があります。
民法で定められた自筆証書遺言書の要件
- 遺言書の全文・日付・氏名の自書と押印
- 自書によらない財産目録を添付する場合は、各ページに自書による署名と押印が必要
- 加除修正をする場合は、法律の規定どおりに行うことが必要
- その他


自筆証書遺言書保管制度を利用する場合の要件
法務局で用意している遺言用紙などを利用して、要件に合った遺言書を作成しましょう。
- 用紙はA4サイズ
- 文字の判読を妨げるような地紋・彩色等のない用紙を使用
- 余白を確保(上側5mm以上、下側10mm以上、左側20mm以上、右側5mm以上)
- 余白にはページ数や変更・追加の記載を含めて何も記載しない
- 片面のみを使用(裏面には何も記載しない)
- 遺言書本文・財産目録の各ページに、総ページと通しでページ番号を記載(例:1/3、2/3、3/3 余白には記載しない)
- ボールペン等の容易に消えない筆記具を使用(長期間保存するため)
- 複数ページでも綴じ合わせない(ホチキス・糊付け等不可)
画像出典:法務省
遺言書保管制度利用の流れ
「遺言書保管所」となっていて、つぎの3つのいずれかを管轄する法務局から選びます。
- 遺言者の住所地
- 遺言者の本籍地
- 遺言者が保有する不動産
保管する法務局を選んだら、専用サイト(法務局手続き案内予約サービス)か、電話で予約をします。



当日までに、必要書類を準備します。
- 遺言書の保管申請書
- 本人確認書類(官公庁から発行された顔写真付きの身分証明書)
- 住民票の写し(本籍地と戸籍の筆頭者の記載のあるもので、マイナンバーや住民票コードの記載のないもの)
- 遺言書が外国語により記載されているときは日本語による翻訳文
- 3,900円分の収入印紙(法務局でも購入できます)



遺言者本人が直接法務局に出向いて、手続きする必要があります。子どもさんや専門家などの代理手続きは認められていません(付き添いは可能です)。
予約時間になったら窓口に声をかけて、遺言書等を預けます。遺言書の確認に1時間ほどかかるので、法務局の近くで待機します。
問題がなく保管できることを確認してもらえたら、手数料を納付し、「保管証」を受け取ります。
保管申請にかかる費用
遺言書の保管にかかる費用は、法務局に支払う保管手数料として、1件につき3,900円かかります。
また、市役所から住民票の写しを取り寄せる費用として、1通数百円かかります。
参考


