
労働者協同組合とは
持続可能で活力ある地域社会の実現に資することを目的として、つぎの3つの基本原理に従って事業を行う組織です(労働者協同組合法第3条第1項)。
- 組合員が出資すること
- 組合の事業について、組合員の意見が適切に反映されること
- 組合員が組合の事業に従事すること
労働者協同組合の要件
労働者協同組合は、つぎの5つの要件を備える必要があります(労働者協同組合法第3条第2項)。
- 組合員が任意に加入し、脱退することができること
- 組合と事業に従事する組合員との間で労働契約を締結すること
- 組合員の議決権及び選挙権は、出資口数にかかわらず、平等であること
- 組合との間で労働契約を締結する組合員が総組合員の議決権の過半数を保有すること
- 剰余金の配当は、組合員が組合の事業に従事した程度に応じて行うこと
労働者協同組合の禁止事項
労働者協同組合は、つぎのことを行ってはなりません(労働者協同組合法第3条第3~6項)。
- 営利を目的として事業を行うこと
- 特定の組合員の利益のみを目的として事業を行うこと
- 特定の政党のために利用すること
- 暴力団・暴力団員等の統制下にあること
労働者協同組合の定款
定款は、組合設立時に発起人によって作成され、創立総会で承認を受ける必要があります(労働者協同組合法第22条、第23条第1項、第23条第3項)。
絶対的記載事項(必ず記載しなければならないこと)
定款に必ず記載しなければならない事項は、次の15項目です(労働者協同組合法第29条第1項)。
- 事業
- 名称(組合名に「労働者協同組合」という文字を入れる必要がある:労働者協同組合法第4条第1項)
- 事業を行う都道府県の区域(主たる事務所の所在地=届出先の都道府県)
- 事務所の所在地(市区町村までで可)
- 組合員たる資格に関する規定
- 組合員の加入及び脱退に関する規定
- 出資一口の金額及びその払込みの方法
- 剰余金の処分及び損失の処理に関する規定
- 準備金の額及びその積立ての方法
- 就労創出等積立金に関する規定
- 教育繰越金に関する規定
- 組合員の意見を反映させる方策に関する規定
- 役員の定数及びその選挙又は選任に関する規定
- 事業年度
- 公告方法
相対的記載事項(取り決めをした場合に記載すること)
次の事項について定めた場合は、定款に記載しなければなりません(労働者協同組合法第29条第2項)。
- 組合の存続期間、解散の事由
- 現物出資をする者の氏名、出資の目的財産・価格、出資口数
- 組合の成立後に譲り受けることを約した財産の価格、譲渡人の氏名
規約
次の事項は、定款で定めなければならない事項を除いて、規約で定めることができます(労働者協同組合法第30条)。
- 総会または総代会に関する規定
- 業務の執行および会計に関する規定
- 役員に関する規定
- 組合員に関する規定
- その他必要な事項



詳しい注釈がついているものもあるので、参考にしてください。
労働者協同組合設立の流れ
新たに設立する場合
発起人を3人以上集めて、定款・事業計画・収支予算・役員(理事・監事)の案について話し合い、必要書面を作成します。
設立総会の2週間前までに日時・場所・定款を公告します。
定款の承認や、事業計画書、収支予算の議決、役員の選挙などを行い、議事録を作成します。
組合員となることを承諾した者の半数以上が出席し、2/3以上の多数による決議が必要です。
創立総会で理事を選任した後に理事会を開催し、代表理事を選定します。
理事は事務引継ぎ後、組合員に速やかに出資の第1回払込みをしてもらいます。
法務局に設立の登記の届出をします。
設立登記から2週間以内に、主たる事務所の所在地の都道府県知事に設立の届出をします(東京都の場合はこちらをご覧ください)。
その後、税務署や労働基準監督署など関係する役所に必要な申請・届出をしたり、銀行口座の開設の手続きをします。
NPO法人から組織変更をする場合
- 組織変更計画の作成
- 社員総会の開催
- 議決の公告等
- 出資の払込み
- 組織変更の登記・行政庁への届出
- 組織変更時財産額の確定



特定労働者協同組合の場合
特定労働者協同組合は、都道府県知事が非営利性を徹底したと認定した組合です。認定の流れはつぎのとおりです。
- 申請書類の作成・提出
- 申請書類の審査(認定基準への適合性や欠格事由への該当性を審査)
- 認定・不認定の通知
- 認定の公示
毎年度行う手続き
- 決算関係書類等の提出(すべての組合:毎事業年度、通常総会の終了の日から2週間以内に)
- 組織変更時財産額に係る使用状況の報告(組織変更後組合の場合:毎事業年度終了後、通常総会の終了から2週間以内に)
- 報酬規程等の提出(特定労働者協同組合の場合:毎事業年度、初めの3月以内に)
参考


