遺言書の種類は?

ユキマサくん
この記事では、遺言書の種類とそれぞれの特徴をご説明します。
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自筆証書遺言(普通形式の遺言)

自筆証書遺言は、自分の直筆で書く遺言です。自分ひとりで作成でき、証人が必要なく、お金もほとんどかかりません。

自筆証書遺言を作成するには、法律で定められた方法に従う必要があります。財産配分など遺言内容の全文、日付、氏名を自筆で書き、押印して作成します(民法第968条第1項)。

添付する財産目録はパソコンで作成したり、代筆してもらうことも可能ですが、全ページに署名捺印が必要です(民法第968条第2項)。訂正する場合も法律に従った方式で行わないと、その訂正が無効になることもあります(民法第968条第3項)。

ユキマサくん
自筆証書遺言を遺言書保管所(法務局)に保管できる自筆証書遺言書保管制度があります。
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公正証書遺言(普通形式の遺言)

公正証書遺言は、公証人とともに作成する遺言書です。法律の専門家がかかわるため、形式や内容に関して法律上の不備になることはほとんどありません

公正証書遺言を作成するには、証人2人以上の立会いのもと、法律で定められた方法に従って作成します(民法第969条)。

公証役場に出向いて作成するのが原則ですが、入院中や自宅療養などの事情があれば、公証人が出張してくれます。言語に障害がある人でも、作成可能です(民法第969条の2)。

作成にかかる手数料は財産の価額によって異なります(公証人手数料令第9条別表)。

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自筆証書遺言のメリット・デメリット

実際に遺言書を作成する際は、自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらかを選ぶことになることが多いです。

それぞれのメリット・デメリットを比較して、ご自分に合ったものを選ぶことをおすすめします。

ユキマサくん
自筆証書遺言と公正証書遺言に効力の違いはありません。

メリット

  • 自分でひとりで作れる
  • 費用がほとんどかからない
  • 遺言書を作成したことや、内容が誰にも知られずに済む
  • 自筆のため想いが伝わりやすい

デメリット

  • 全文を自筆で書かなければならない(財産目録を除く)
  • 自分で作成するので、人によって異なる解釈をされたり、要件を満たさずに無効になるおそれがある
  • 生前に発見されたり、紛失・偽造・廃棄のおそれがある(自筆証書遺言書保管制度を利用した場合を除く)
  • 家庭裁判所の検認が必要(自筆証書遺言書保管制度を利用した場合を除く)

公正証書遺言のメリット・デメリット

メリット

  • 法律の専門家である公証人が作成するので、人によって異なる解釈をされたり、要件を満たさずに無効になるおそれが少ない
  • 原本が公証役場で保管されるので、生前に発見されたり、紛失・偽造・廃棄のおそれがない。再発行ができる
  • 意思能力があれば、字が書けなかったり、寝たきりの人も作成できる
  • 家庭裁判所の検認が不要

デメリット

  • 費用と手間がかかる
  • 遺言書を作成したことや、内容が公証人や証人に知られる

その他の遺言

秘密証書遺言(普通形式の遺言)

秘密証書遺言は、内容を誰にも知られずに作成できる遺言です。

遺言書を作成・封印後に、公証役場で法律に定められた手続きを経て、遺言の存在を証明してもらいます(民法第970条)。

内容はパソコンで作成しても、代筆してもらってもかまいませんが、署名は自筆で、封印は遺言に押した印鑑と同じ印鑑を使用しなければなりません(民法第970条第1号、第2号)。

死亡危急時の遺言(特別方式の遺言)

病気などの理由で死が切迫している人の場合は、証人3人以上が立会い、その1人に遺言の内容を口頭で伝えることによって、遺言にすることができます(民法第976条)。

ユキマサくん
特別方式の遺言とは、死が切迫していたり、隔離されている状況で作成できる遺言です。

伝染病隔離者の遺言(特別方式の遺言)

伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所にいる人の場合は、警察官1人と証人1人以上が立会うことで、遺言の作成ができます(民法第977条)。

在船者の遺言(特別方式の遺言)

船舶の中にいる人の場合は、船長または事務員1人と証人2人以上が立会うことで、遺言書の作成ができます(民法第978条)。

船舶遭難者の遺言(特別方式の遺言)

遭難した船舶のなかで死が切迫している人の場合は、証人2人以上が立会うことで、口頭で遺言をすることができます(民法第979条)。

ユキマサくん
当事務所では自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の作成をサポートいたします。お気軽にお問い合わせください。
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