
遺言書とは
遺言書とは、自分の死後の法律関係(財産・身分など)についての意思を、民法で定められた方式に従って表示する書面です。
言い換えると、自分の死後に「遺産をパートナーに贈りたい」「法律上の婚姻関係がないパートナーとの間に生まれた子を自分の子であると認知して、遺産を相続させたい」「未成年の子の後見人に○○氏を指名したい」などのような想いを、相続人(遺族)や関係者に伝えるメッセージであるといえます。
遺書との違い
遺言書と遺書とで大きく異なる点は、法律上の効力の有無にあります。
遺言書は、相続人(遺族)や関係者へのメッセージです。法律で定められたこと(法定遺言事項)についてのみ、書面で作成することができ、遺言書に法律上の有効性を持たせるには、民法で定められている要件を満たす必要があります(民法第960条)。
一方、遺書は、遺族や関係者へのメッセージという点では遺言書と同じですが、感謝や後事を託す言葉などどのようなことを書いても構いませんし、書面だけでなく、音声や動画で作成しても問題ありません。ただし、それに法律的な拘束力はありません。
なお、遺言書にも、付言事項として法定遺言事項以外についての想いを書くことは可能です。ただし、付言事項には法的な効力はありません。







遺言書を作成できる人
遺言書は、遺言能力がある満15歳以上の方であれば、誰でも作ることができます(民法第961条、第963条)。
遺言能力とは、遺言の内容を理解し、その結果、自分の死後にどのようなことが起きるかを理解することができる能力をいいます。
認知症などで意思能力がないと認められた方の法律行為は無効となります(民法第3条の2)。





遺言書を作成する目的
自分の希望する遺産配分ができる
遺言書を作成すれば、例えば、配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合、遺言書で指定することで、配偶者に全財産を相続させることができます。
相続人以外に遺産を贈れる
遺言書を作成すれば、民法で定められた相続人以外の方、例えば法律上の婚姻関係にないパートナーや、お世話になった人、団体などに遺産を贈ることができます。
遺族の負担を軽減できる
遺言書があれば、被相続人(故人)の意思が示せるため、遺産分割協議がスムーズに進められたり、行わなくて済み、相続手続きが早くできます。
そのことによって、遺族間のトラブルの防止や、時間・労力の負担を軽減したり、相続税の配偶者控除、小規模宅地等の評価減の特例といった税負担の軽減にもつながります。
遺言書を変更・撤回するには
死亡前であれば、遺言書の全部または一部を、いつでも本人の意思で、自由に変更(撤回)することができます。その場合、民法に定められている遺言の方式に従うことが必要です。






